■久しぶりに広島市現代美術館に行った、というのは昨日の日記ですが、なんだかんだ言ってやっぱり交通コストはそれなりのものです。なので、ついでとばかりに普通の観光じゃまずいかねえだろうという所にも寄ったわけです。109シネマズとか。ドメスティックだぜ。よくわからんけど。
広島の109シネマズは広島駅の周辺にあるわけではなく、新井口という駅のそばにありました。てっきりマツダスタジアムの近くにあるんじゃないかとか迂闊すぎる思い込みがあったのですが、そうではありませんでした。ちなみに「新井口」というのは土地の人や(もちろん)知っている人にはなんでもないんでしょうけど、自分は「あらいぐち」と読むのかと思っていました。そうではなくて「しんいのくち」です。
美術館は広島駅からほど近いといえば近い場所にあるのに対して、新井口は奇しくも(という程でもない)平和大通りを挟んで反対側、約4キロ強の距離があります。平和大通りを1時間ほど歩くというのもそれはそれで面白そうですが、映画には間に合わないので素直にJRで。
たまたま「広島シティ☆カジュアルきっぷ」で、新井口は周遊券でカバーされるぎりぎりの駅です。
新井口駅前には「アルパーク」という複合商業施設があります。あとはファミレスと自動車ディーラーと駐車場と駐車場と駐車場。あと民家やマンション。市街としては横浜でも名古屋でも同じ造りだったというか、109シネマズの進出拠点というのがこういう場所ということなんですね。109的景観とでも言いうというか。
そういう意味で広島っぽさのかけらもないところにわざわざ行って何を観たかといえば、(ようやく本題)「ターミネーター4」なわけです。
T4はスカイネットと人類が戦っている時代、といっても2018年とやたらと近い未来なんですが、そこを舞台にしています。今まで断片的に描かれていた機械と人間の戦争が今度は長丁場に描かれているわけですが、なんか妙な既視感があって、ずっと引っかかっていたんですが、ラスト近くでようやく思い出しました。ベンフォードの『夜の大海の中で』に始まる一連のシリーズかとも思ったんですが、そちらはビジュアルはないわけで、ビジュアルという点では『マトリクス』がやっていたわけです(探せば他にもあるんだろうな)。
既視感と言えば、ファンサービスなのか、T2を彷彿とさせるシーケンスがあったりします。どこら辺が、というのは書きませんが。
ストーリーとしてはジョン・コナーと若きカイル・リースが邂逅を果たすまでを描き、そこに元死刑囚マーカス・ライト(たぶん彼の正体は伏せておくべきなのだろうけど、観た人はすぐに見当がつくと思う)が絡む。結果から言うとスカイネットはいらんことをしただけなんじゃないかと思うのだけど、それを言っちゃおしまいなんだろうな。
幾つか、それヘンだろうみたいなことを思いつつも楽しんだのですが、気になったのはT1,T2に比べると(T3は見ていない)T4はずいぶんファミリー向けの味付けになっているのかなあということでした。スター、というセリフの無い(しゃべれないという設定)少女とか、名無しの老婆というのが絶対的に「保護されるべき対象」として、まるでお飾りのように登場します。スターはそれなりにシナリオに絡むのですが、老婆の方はカイルとスターに食べ物を恵んでくれる「善きサマリア人」的人物ですが、登場時はだいぶ勇ましいのに、以降全くシナリオに絡みません。とりあえず製作側は忘れていませんよ、みたいなアリバイ工作的に顔を出すのですが、いるだけです。老婆は観ている側にも解りやすい、カイルにとっての「動機」なんですね。
そういう、製作の意図が観ている最中にわかってしまうというのがあって、それはコナーとカイルを別々の場所に登場させた時点で映画全体は二人が出会うシーケンス以外「ありえない」だろうというのが最たるところなんですが、映画はそうした観ている側の予想をなぞるように進行していくようでした。その分安心して観ていられるのは確かなんですが、そうした点も家族向けに仕上げられているのかもしれません。
映画が終わってアルパーク内に戻ると、そこはもちろん家族ずれやらなんやらで一杯で、おまけに近くの街頭では幸福実現党とかいうのが演説していてたりして、まあ確かに映画はそういうようなマーケティングがなされていたのかもなあとぼんやりと思いました。