■映画を劇場で観たのは久しぶり。特に横浜では。テレビでトランスフォーマー2 ザ・リベンジが放映されて、まあ、びっくりするほど面白かったわけでもないですが、記憶から消すほどつまらなくもなかったということもあり、その勢いを借りて観に行きました。びっくりするほど感動したわけではないですが、呆れるほどつまらなかったわけでもないです。もともとある「トランスフォーマー」というフレームに期待するもの相当ではあったと思います。身も蓋も無い言い方をすれば、そういうカテゴリーの映画と割り切ってしまえば、相応に面白い映画だったと思います。
デストロン側の黒幕は前作の「リベンジ」で破壊されていて、オプティマスとデストロンの対決を残すのみ、という感じですが、そんな中、アポロ計画で月面に発見されたサイバートロンの宇宙船という事実が再浮上してくる。しかしそれはデストロンの罠っぽい…という伏線から話の展開は読めて、そのとおり進む。デストロンたちはなぜかシカゴを占拠し、セイバートロンの召喚を試みる。デストロンに占拠されたシカゴ界隈の描写はどこか『宇宙戦争』(トム・クルーズ版)を思わせたり。
大まかのプロットは特に破綻はないけれど、ストーリーの中で描かれる戦術目標がかなりしょぼく、そこを埋め合わせるために後半はかなりどたばたしている。起動されようとしているセイバートロン召喚の装置を破壊することがとりあえずの目標になるのですが、特に作戦らしい作戦があるわけではなく、しかもトムと数人の有志だけの孤独な潜入行かと思いきやNESTは合流するし、SEALSは出てくるし、いつのまにかそれなりの規模に。
オプティマスは「奇襲しかない」とか言っておきながら奇襲になってないし、結局はどつき合いで決着となるし。それとトムが延々と彼女を戦場を引っ張りまわすのがどうにも気になります。その彼女もまるきりストーリー上の意味が無いわけでもないのですが、あんまり必要はないんじゃないのかなという気が。
ラストはオプティマスが「この星と人類を見捨てることはない」と独白して終わるのだけど、その背後にあるのが星条旗というのも、こうした映画にあってはお約束と言えばお約束。
ただ、なあ、たぶん、自分が観たかったのはオプティマス・プライム率いるオートボット達と人類の共同戦線による反抗作戦だったのです。だから、冒頭はいきなりデストロンに占拠され変わり果てた廃墟となったロス・アンジェルスなりニューヨークなりから始まって、大統領がID4ばりの演説をぶって、敵の本拠地に侵攻し、人間の兵士はオートボットのために、オートボットは兵士のために、互いをかばいあい、命を託し、消耗し、最も粗にして野と思われたキャラクターの自己犠牲と共に突破口が開かれる、みたいな。もちろんそれはそれで「よくある話」ではあるのですが、もともとが子供向けアニメで始まった作品なのだし、それで十分だったのではないかなあと思うのです。