■横浜美術館で松井冬子「世界中の子と友達になる」が始まったのでさっそく観に行った。噂にたがわぬ凄みがあったのだけど、それは後にして、常設展時も面白かった。黒船以後の開国直後の日本を撮影した写真が多数展示されていて、中には見ただけで場所が特定できるものもあった。殆どは今とはずいぶん変わっていて見分けがつかない。面白いなと思ったのは鶴岡八幡宮を写した一枚。
どこから撮影したかもだいたい解る写真だけど、八幡宮の印象がずいぶん違う。手前の参道脇がずいぶんすっきりしているのも違和感があるけど、後方の稜線が松林のようでこちらもすっきりしているのも違う。今はどうだったかなと年末に撮りに行った。八幡宮は歳末のこの時期が一番好きかもしれない。人は少なく、それでいて祭事の雰囲気にあふれている。撮影場所は舞殿の右斜め前から。
建築物の造形はあまり変わらず、むしろ植生は劇的に変わっている。今の方が緑勢が強い。今は自然と一体になった…というように表現できそうですが、その「自然」は最近の姿であることが解ります。伊勢神宮の境内に並ぶ木々が建て直しのための建材確保として植えられていることを考えると、昔のすっきりとした松林も建材用途だったのかもしれません。150年ほど経って、植生は大きく姿を変えましたが、また150年後に定点撮影した時には違う姿を見せているでしょう。「今」とはその変化していく過程の局面でしかない。
あけましておめでとうございます。
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