南伊勢・宿浦

■「ボクの夏休み」という説明不要のゲームがありますが、あんな感じがしなくもない。夏はとっくに終わってますが。またもや南伊勢まで遠出して、ただし今度は東側を攻めてみました。近鉄鵜方駅で降りて、三重交通バスの宿浦行きに乗って揺られること30分。伊勢市駅とか磯部から五ヶ所方面を結ぶバスはなんか古びていたんですが、この日乗ったバスは行き先表示器が電光掲示でずいぶん新しい。スペイン村があるから、ということなんでしょうか。

 鵜方駅から宿浦へ行き、宿浦から南伊勢町営バスに乗って五ヶ所へ移動して、そこで伊勢市駅行きのバスに乗り換えるという、まあ、そういう巡回ルートを組んだわけです。ただし宿浦-五ヶ所間は朝、昼、夕方しかないので計画はそこに制約されます。ぶっちゃけ13時台の一本しか使えない。
 近鉄名古屋-鵜方間もたいがい時間がかかり、鵜方-宿浦間も1時間に一本という頻度で、そうなると否応も無く12時~13時の1時間くらいしか観て回る時間は取れない。

 グーグルマップでも詳細が良く解らないし、衛星写真でもあまり解像度が出せない地域で、バス停の位置も良く解らない。とりあえず往路は田曽白浜というところで降りて、後は宿浦方面へ歩きながら町営バスのバス停を探すことにした。
 したのだけど、田曽白浜で降りて途方に暮れた。まわりに人家らしきものが何もない。遠くに工場のような建物は見えるけど。
 とりあえずこれまで乗ってきたバスの行き先を注視して、迷わないように‥‥も何もすとんとまっすぐに伸びる道を直進していくだけなのだった。
 ちょっと早く降りすぎたらしい。

田曽白浜バス停

 後になって衛星写真と現地で見た地形を合照して、ここが近くにある田曾白浜キャンプ場の最寄ということを知ったのだけど、このときはとりあえず人里に行こうとバスの走り去った方へと歩くことにした。適当なところで弁当を食べるつもり。
 辺りの雰囲気は箱根付近の一部と似ていないこともない。山塊の起伏は穏やかで一面に緑が乗っている。
 一本道を歩いて峠をひとつ越したらようやく人家が目に入った。バス停もある。道路標識などから、そこが田曽浦の入り口だと見当がついた。宿浦までそう遠くはないが、びっくりするほど近くもないだろう。

天理教前

 今まで歩いてきた比較的高規格な道をさらに行く。とりあえず宿浦の様子は遠目にも見ておきたいと思っていた。
 道路から見える田曽浦地区は人家が密集していて、漁港も大きなもののように見えた。重機も見えて、整備が進められているようだった。

田曽浦

 バス停が見つからないまま、そろそろ20分になろうとしていた。30分歩いて次のバス停が見つからなかったら、先ほどのバス停に引き返さなければならない。とりあえず見晴らしの良いところを探して弁当を食べることにする。名古屋駅で買っておいた駅弁だ。
 幸い見晴らしの良い場所は見つかり、そちらへと歩くと碑があることに気がついた。野口雨情の歌碑だった。その近くに腰を下ろせる場所があったのでそこで食べることに。地元の人が通るのだけど気にしない。
 目の前には港があって、一隻の漁船が出港準備をしていた。大音量で演歌を流している。まあ、旅情と言えば旅情という気もする。あえて言うまでもなく、ここは都市型景観からとても遠い。

野口雨情歌碑「三崎止尼崎かけて 岩に散るのは浪の花」
田曽浦港

 弁当を食べ終えて、時間制限はぎりぎりの感じ。少し宿浦側まで歩く。宿浦港近くまで降りると雰囲気は三崎あたりと通じる感じに。もう少し時間的に余裕があれば街中にも入りたかったのですが、町営バス停が見つからないのでここで引き返すことにした。ぶらぶらと散策するのに良さそうな穏やかな雰囲気の土地という印象だったので、ちょっと残念。これなら変な色気を出さずに宿浦まで乗っていけば良かった。

宿浦港

 宿浦-五ヶ所間のバスがまたいい感じに穏やかで、行き先表示が「宿浦」のままで、さすがに面食らった。入り組んだ道を行ったり来たりで、さすがに道は覚えられない。ルートとしては五ヶ所湾東側のリアス式海岸特有の入り組んだ地形をだいたいなぞっているはずで、車窓から見える景色は静かな海辺というか、大きな湖をめぐっているような雰囲気だった。他に乗客もなく、貸切バスのような状態で悪くない。
 別にゴルフ場もないし温泉もあるわけじゃないけれど、自分にとってはこれだけで十分保養になる。釣りでもやってればまた違うのだろうけど、それは無い。
 このうらうらとした環境はこの土地のリソースだと思うけど、それは周辺から人が大挙して訪れないから維持されているのも確かだと思う。公共交通を使うにしろ、自家用車を使うにしろ、流れは伊勢市付近のわずかな平野から鳥羽-志摩か、ずっと西よりの尾鷲-熊野灘方面へ向かう。ここは人と物流のターミナルポイントで、流れの途中にはない。そういうエアポケットのような土地になっている。ただ、もちろん、エアポケットになっているだけに負圧は強い。

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作成:2008.10.05
公開:2008.11.23

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