木の器

■新しいテーブルを買った。今まで使っている比較的小さなテーブルはそのまま物置台として、新規に導入。今のところ物置にはならずに広いまま使えている。ダークブラウンの木製で、だいぶ広いのでなんとなく木製のテーブルウェアが欲しくなった。物撮りに便利ということもあって、ハンドクラフトのマーケットプレイスサイトとか家具・食器系のバイヤーサイトを見たりしている。

 いろんな木の器を眺めていてなんとなく自分でも気づいていたのだけど、形態としては抽象的なものがよくて、それもソリッドな印象なものほど自分の好みにある。ハンドクラフト作品には「手作り感」を出すためか彫り跡を残したり、あるいは何かの形(木の葉とか)に似せて作るものが多いのだけど、そういうものはなんかいまいち。丸皿よりも角皿で、正方形よりは長方形が良く、つまり回転対象でないものがいい。テーブルに対して角度を持たせることでちょっと印象が変えられるからだと思う。

 ただ、それって器としては「よくある」形になってしまう。よくある形なので誰でも作れるわけで、そのためか逆説的にあまり作られない形になってしまったようだ。そんなことを木工を扱う通販、マーケットプレイスサイトを通して眺めて思った。
 工芸品は基本的に日常の中で使用されるもので、昔、それらは購入しに行ける距離内で調達されていた。わざわざ遠くに出かけて仕入れたりはしなかったし、あえて遠くから仕入れたものはその移動コストに見合う価格で売れるもの、複雑な加工や装飾が施された調度品のような装いを持つ器が対象となっていた。漆器や彫金、螺鈿などで美しく飾り立てられた、今では美術館などに収まってもおかしくない品々がそれに相当すると思う。

 でも自分が欲しいのは全然ミニマルな、というかそっけないもので、汎用的なデザインのものだと思うのだけど、そうしたものはかえって入手しにくい。もっと多くありそうなものだけど、意外とそうしたものでもない。もしかしたらそれは「デザイン」というものに対する理解に根差しているのかもしれない。「市場でよく見る形態」を「流行りのデザイン」と思われているからかもしれない。

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作成:2013.09.29
公開:2013.10.20

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