■既に今更な感じだと思いますが、会期は2008/09/13~11/30。横浜港の新港ピアやBankartNYK、赤レンガ倉庫など関内の鼻先にあるエリアを中心に複数の会場に分散して開催。自分は開催初日と2日目に見てまわったんですが、ここの日記はリアルタイム更新ではなくて、週末に1つづつ公開していく方式なので、会期も押し迫ったこんな時期ということに。
とりあえず公式サイトへのリンク。全体テーマは「TIME CREVASSE」ということでなんだか大仰に感じたのですが、サイトの説明文を読めば、異質なものとの接触といったところでしょうか。「現代美術って何かというと、それは異質なものに接する訓練だと思うんです」(うろ覚え)というのは先日豊田美術館の「Blooming」のアーティストトークにおける島袋氏の見解なのですが、その繰り返しがここに出てきたということになります。
ただ、確かに自分にとって現代美術に触れる機会というのは、普段見慣れないものを目の当たりにすることで、ルーチンな日々にピリオドが打たれるタイミングになっています。ピリオドが打たれて終わりになるかっていうと、もちろんそんなことはなくて、翌日からルーチンは再開されるわけですが、まあ、自分の中で区切りが生まれているのは確かです。
ルーチンな日々はそれはそれで必要なんですが、対して印象深いわけではないので、記憶にあまり残らない。残らないとナニが起こるかというと、振り返ってみると「1年ってあっという間だったなあ」と思ってしまうハメになるわけです。
どうせなら「いろいろあったなあ」というほうが面白いと思うわけです。もちろんネタは人それぞれだと思いますけどね。
で、横浜トリエンナーレ、横トリとか略したりもする(そういうピンズもショップで売っていた)ようですが、まあ、堪能しました。
最初に入ったのは新港ピア。入っていきなりヨナタン・メーゼのパフォーマンスで、何やらちょっと太めの外国人がドイツ語でがなりたてている。アーチスト側も気を遣ってくれたようで、ちょっと日本語を交えたりするのだけど、ドイツ語のヒアリングはさすがに厳しいので、パスする。ドイツ語パフォーマンスと逆のコーナーサイドではスピーカーが並び、こちらはこちらで英語で何やらしゃべくっている。シャロン・ヘイズの'Everything Else Has Failed! Don't You Think It's Time for Love?'(何をやってもうまく行かない!それなら愛しかないじゃない)のスピーチ記録の再現(だと思う)。ドイツ語とは違って英語なので多少解るのだけど、それも程度問題。壁に日本語プリント束があってそれでようやくわかった。直接的にはたぶん、イラク派兵を題材にしている。
お隣の部屋で、いきなり迷う。会場には順路のようなものがなく、会場マップを手にしてクリアしていないブースを探して潰していかないとならない。意図的なものだろうけど、どこが入り口で出口なんだかわからない。ウラ・フォン・ブランデンブルグの黒いラシャ布に映写したモノクロフィルムが夢を見ているような雰囲気。時間かけて何度も観たら気の効いたことを書けそうな気がします。
夢のような、と言えばペーター・フィッシュリ&ダヴィッド・ヴァイスのクマとネズミの着ぐるみが金きらの古城の中を徘徊する「ラット・アンド・ベアー」がこれまた時間の無い、終わりも始まりも無い雰囲気で夢の中のような。
新港ピア会場で一番印象に残っているのはマイク・ケリーのキャンドル・ライト・セレモニー('Extracurricular Activity Projective Reconstruction #12')で、ナチと教会と何かの公開討論会みたいなものらしいんですが、そのコンテキストがわからない。
他にはクスウィダナント a.k.a ジョンペットのジャワナマシーンがかっこ良かった。リンク先にあるような演奏デバイスが4x4でずらっと整列して、映像に併せてドラムを叩くところを想像してみるとよろし。肉体が無くて精神だけになった奏者、とかそういう雰囲気。
マーク・レッキーの「巨大な白い蛮族の行進」(リンク先は残念なことに絵と音が合っていません)も妙な勢いがあって面白かったです。これ、パブリックスペースに置いていある彫像を並べているわけですけど、「アンタら、浮いてるぞ」ってことですかねえ。「蛮族」だし。
新港ピア会場では一番奥にショップとカフェがあるのですが、休憩所程度のもので、食事は期待できない(する人もいないか)。ショップでカンバッジとかお菓子とか買ったのですが、袋がどこかで見覚えのある絵柄で、最初はランドマークタワーかと気にしなかったのですが、良く良く見ると森タワーで、これ森ビルのミュージアムショップからの流用品か。お菓子の販売業者も「森ビル」になっているし。