■原付スクーターとMTの操作性で大きく異なるといえば、坂道発進もそうでしょう。スクーターではブレーキかけた状態から、車重によっては足をついた状態で後退しないように止めながらアクセル回してブレーキ放せば滅多に後退することもなく坂を上ります。これはもちろん遠心クラッチのおかげなんですが、MTではこの遠心クラッチ相当の働きを操縦者が行わなければなりません。坂道発進の理屈は簡単で、ギアを1速、ブレーキをかけた状態で半クラにしてアクセルを回し、平地よりもエンジンの回転数を上げてブレーキを緩める。ある程度速度がでたらアクセルをゆっくり開けつつクラッチは完全に手放す。
お世話になったホワイトベースの坂道発進もそんな感じです。ただ、理屈で分かっていても感覚的に分からないと操作できないわけで、自分もそうでした。
感覚的に掴めないのは半クラを維持するクラッチレバーの位置と、アクセル開度です。クラッチが切れているとアクセル開いてリアブレーキを緩めても動力が後輪に伝わらないので後退しますし、クラッチがほとんどつながる状態まで放してしまうとエンストします。
ホワイトベース製のもう一つの坂道発進動画にもあるのですが、リアブレーキを踏んだ状態で、半クラにしてアクセルを開けていくと車体が前進しはじめようとするポイントがあります。車体がそのような挙動をすることが体感できます。ただ、クラッチがつながっていない状態でアクセルを開けるだけだと単にエンジンがふけあがってびっくりするだけになのですが、その場合はクラッチをもう少し放すわけです。
なので、段取り的には
1)クラッチを握り切った状態で、回転数を少し上げた状態で安定させる。
2)クラッチを少しずつ放していって回転数が下がりだすところを探し、クラッチレバー位置を固定する。
3)車体に前向きの力が加わるまでアクセルをゆっくり開けていく。
4)リアブレーキをゆるめていく。ノッキングするようならアクセルをさらに開ける。
5)加速していく感覚があればクラッチも開いていく。クラッチを開いて遅くなるようならアクセルを開く。
といったところでしょうか。もちろん法規走行的に、発進前の後方確認なども加わります。教習所の構造によってはウィンカーが必要になるかもしれません。
最初の頃に難しかったのは、(1)の回転数を少し上げた状態で安定させる操作でした。スクーターの感覚だと大きく回してしまうのですが、クラッチを切った状態でスクーターのように回すと簡単に8千~9千(自分が使った教習車(CB400SFK)の場合)回って(音に)びっくりします。
自分が住んでいる土地は坂道ばかりなので、坂道発進を身に着けることが必須ということは分かっていました。教習がどうこう以前に、坂道発進できないとそもそも公道に出れないわけです。その意味で懸案だったのですが、なんとかできるようになって一安心です。