■一部では「鬼の半クラ」とも呼ばれる半クラはスクーターに慣れていると感覚的に掴みにくい操作ではないかと思います。スクーターのレバー操作は右が前輪、左が後輪ブレーキでどちらもずっと握り続ける、それも中途半端に握り続けながら走ることはしません。「半クラ」というのがクラッチの接触を弱めて滑らしながら動力を伝える──スクーターではその機構を遠心クラッチが肩代わりしてくれているわけですが──ということは理屈ではわかるのですが、反クラの程度とそれを持続させる時間というのはさっぱり分かりません。教えてはくれません。半クラを続けてください、と言われるだけです。
半クラについては、日本二輪車普及安全協会のライディングノウハウのページで「半クラ三兄弟」などと説明されていて、要は動き出してある程度の速度が出るまで半クラを続けるだけなのですが、その感覚は実際に動かしてみないとわかりません。特に教習車は個体によってクラッチの遊び加減や効き加減がバラバラで、なれないうちはしょっちゅうエンストさせました。教習車のアイドリング域でのトルクはかなりあると思うのですが、それでも静止状態で200Kg程の質量を動かすほどではなくて、クラッチを滑らせることでその場に留まろうとする車体の抵抗力すべてがエンジンに伝わらないようにするわけです。
ライディングテクニックのテキストの中では、たいてい「半クラッチとなるレバー域」を覚えるようになっているのですが、前述したように教習車には個体差があって、半クラの位置は微妙に違っていますし、教官についてまわって教習所の中をぐるぐる走っている中ではとても習得できる暇はありませんでした。とても勘のいい人なら乗って最初のウォーミングアップで掴むことができるかもしれません。
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