■先日広島現美で「一人快芸術」を観に行った時はまだ新しいコレクション展は始まっていなかった。コレクション展は美術館所蔵の作品を展示するものなので、目新しいものがないかもしれないけれど、暇もあったし、出かけて行った。まだ1月も上旬の頃。
天候は幸いなことに晴れ。ただし風は冷たく。いつものように広電の比治山下で下車して山登り。この時期のコレクション展はテーマが「境界」。国境、だけではなく、俗域と聖域の境とか、色と色の境、あるいは広島が〈ヒロシマ〉になった境「午前8時15分」
〈ヒロシマ〉になった時間的境界、というのはちょっと意表を突かれました。真冬にヒロシマを持ってこられたのも。
ただ、さすがにコレクション展だけでは間がもたず、早々に退去。近場にあるHAPに立ち寄ってみました。Art Space HAPのHPにはまだ今年のスケジュールが掲載されてはおらず、期待はしていなかったのですが、やっぱりというか、案の定、準備中でした。
ただコレクション展のためだけに広島に足を運ぶというのも、交通費がもったいないので、もう少し足を伸ばしてみることにした。行き先は、呉。
呉はこうの史代の『この世界の片隅で(上)(中)(下)』の舞台になった土地で、戦時中の呉の街並みが未だに偲べるとは露ほども思っていないが、とにかく現地の雰囲気は一度感じておきたかった。
広島から呉は安芸ライナーで30分ほど。
行ったら行ったで、特に何があるわけでもないのですが、海事ミュージアムに行きました。呉海軍工廠の歴史とか、現在に続く機械産業の状況とか。ちょっと驚いたんですが、と言うと失礼ですが、だいぶ人出があってちょっと驚きました。
ところでお昼は呉の駅ビルでとったのですが、「あんかけラーメン」というメニューがありました。変わっているなあと思って、もちろん変わっていると思ったからこそ頼んだのですが、実物が届く前に気がつきました。あんかけラーメンって、サンマーメン(生馬麺)のことじゃない。
出されたものはやっぱりサンマーメン。ただ、麺が太いので、そこが横浜のサンマーメンとは趣が違って、確かに「あんかけラーメン」ではある。でも、あんかけの下に麺があるという構造はサンマーメンを思わせるに十分で、ずいぶんと懐かしい。
ただ、そういえば横浜にいてもサンマーメンってあんまり食べなかったなあ。
呉という土地の印象ですが、地図で眺めるよりもずっとコンパクトな谷戸の土地なのだなあという印象。『この世界の片隅で』の中で、主人公であるすずが平野部から丘陵地の上にある自宅まで歩いて帰る描写があって、どれだけの距離感なのかちょっと不思議だったのですが、そのあたりの感覚もなんとなく解って満足。そしてまた、なんとなくあの作品の登場人物達の足取りを感じれたような気がしたのでした。